検査選択のポイント:ハイライト
- スクリーニング目的: View39とMAST48mixは、どちらもアレルギーの原因物質を広範囲に調べるための初期スクリーニング血液検査です。これだけでアレルギーを確定診断するものではありません。
- 検査項目数: MAST48mixは48項目(混合項目含む)、View39は39項目のアレルゲンに対する特異的IgE抗体を一度に測定します。MAST48mixの方がより多くの項目をカバーしています。
- 医師との相談が不可欠: どちらの検査が適しているかは、症状、疑われるアレルゲン、既往歴、費用などを考慮し、最終的には医師が判断します。検査結果の解釈にも専門的な知識が必要です。
View39とMAST48mix:アレルギー血液検査の概要
原因不明の食物アレルギーに悩むとき、原因を特定するための第一歩としてアレルギー検査が考えられます。View39とMAST48mixは、日本で広く用いられている多項目同時アレルギー検査で、少量の血液から多くのアレルゲンに対する体の反応(特異的IgE抗体の有無)を調べることができます。
これらの検査は、アレルギーの原因となりうる物質を幅広くスクリーニングするのに役立ちます。特に、何が原因か見当がつかない場合に、可能性のあるアレルゲンを絞り込む手助けとなります。
主な特徴の比較
検査項目数と範囲
最大の quantifiable な違いは、検査対象となるアレルゲンの数です。
- View39: 39項目のアレルゲンを測定します。食物系と吸入系(花粉、ハウスダストなど)のアレルゲンがバランス良く含まれています。
- MAST48mix: 48項目(または48種類)のアレルゲンを測定します。View39よりも9項目多く、MAST36という検査の項目に、木の実ミックス、イネ科ミックス、ブタクサミックス、カビミックス、ダニミックス、ペット(犬・猫)ミックスの6つの「ミックス項目」を追加したものとされています。食物アレルゲンとしては22項目(24種類)が含まれ、特定原材料7品目もカバーしています。サバなどがMAST48mix特有の項目として挙げられることもあります。
「ミックス項目」とは?
MAST48mixには「ミックス」と名の付く項目が含まれています。これは、複数の関連アレルゲン(例:複数の木の実、複数のイネ科花粉)をまとめて一つの項目として検査するものです。View39も実質的に同様のグループ化をしている場合があります。
これらのミックス項目で陽性反応が出た場合、そのグループ内のどのアレルゲンに反応しているのかを特定するためには、さらに個別のアレルゲンに対する精密検査(例:特異的IgE RAST検査)が必要になることがあります。これは、どちらの検査においても留意すべき点です。
利便性と実用性
検査の受けやすさにも違いが見られることがあります。
- View39: しばしば、より少ない採血量で検査が可能であること、結果が比較的早く出ることが利点として挙げられます。原因不明のアレルギーに対する初期スクリーニングとして、手軽に受けやすいと感じるかもしれません。
- MAST48mix: より多くの項目を一度に調べられるため、網羅性を重視する場合に適しています。特定の食品群(例:木の実)に対するアレルギーが疑われる場合、ミックス項目が含まれている点が有用な場合もあります。
費用については、医療機関や保険適用状況によって異なりますが、一般的にView39の方が若干安価な傾向があるとされることもあります。ただし、アレルギー症状があり医師が必要と判断した場合は、どちらの検査も保険適用の対象となりえます。
比較表:View39 vs MAST48mix の特徴
以下に、View39とMAST48mixの主な特徴を比較します。どちらを選択するかを検討する際の参考にしてください。
特徴 |
View39 |
MAST48mix |
検査項目数 |
39項目 |
48項目(種類) |
検査対象 |
特異的IgE抗体 |
特異的IgE抗体 |
アレルゲン種類 |
食物系、吸入系 (花粉、ハウスダスト、カビ、動物など) |
食物系 (特定原材料7品目含む)、吸入系 (花粉、ハウスダスト、カビ、動物など)、ミックス項目あり |
主な食品項目例 (※) |
卵白、牛乳、小麦、米、ソバ、大豆、エビ、カニ、ピーナッツ、果物類、魚類など |
View39の項目に加え、サバ、木の実ミックス(アーモンド、クルミ等)などを含む可能性 |
主な吸入系項目例 (※) |
スギ、ヒノキ、カモガヤ、ブタクサ、ヨモギ、ダニ、ハウスダスト、犬・猫皮屑、ゴキブリ、カビ類など |
View39の項目に加え、より詳細なダニ項目、イネ科ミックス、ブタクサミックスなどを含む可能性 |
主な利点 |
少ない採血量、比較的迅速な結果、初期スクリーニングに便利 |
より多くの項目をカバー、特定のミックス項目による網羅性 |
留意点 |
陽性の場合、詳細な特定には追加検査が必要な場合あり |
ミックス項目が陽性の場合、原因特定に追加検査が必要 |
保険適用 |
医師が必要と判断した場合に対象 |
医師が必要と判断した場合に対象 |
※ 検査項目は検査機関によって若干異なる場合があります。あくまで一般的な例です。
特性の視覚的比較:レーダーチャート
View39とMAST48mixの特性を、いくつかの側面から視覚的に比較してみましょう。以下のチャートは、各検査の一般的な傾向を示したものであり、絶対的な評価ではありません。スコアが高いほど、その側面での特徴が強いことを示唆します(1が最小、5が最大)。
このチャートから、MAST48mixは項目数や網羅性で優位性がある一方、View39は利便性やコスト効率の面で魅力がある可能性が示唆されます。結果の具体性(ミックス問題)については、どちらの検査も同様の課題を持つ可能性があります。
アレルギー検査のプロセス:全体像
アレルギーの原因を探るプロセスは、単一の検査だけで完結するものではありません。以下の図は、一般的なアレルギー診断・管理の流れを示しています。
mindmap
root["アレルギー診断・管理プロセス"]
["症状の発生・認識"]
["食物摂取後の不調"]
["皮膚症状 (蕁麻疹, 湿疹)"]
["呼吸器症状 (咳, 喘鳴)"]
["消化器症状 (腹痛, 下痢)"]
["医療機関受診"]
["問診 (症状, 食歴, 既往歴)"]
["身体診察"]
["検査の選択・実施"]
["医師による判断"]
["スクリーニング検査"]
["View39"]
["MAST48mix"]
["必要に応じた追加検査"]
["特異的IgE RAST (個別項目)"]
["皮膚プリックテスト"]
["食物経口負荷試験 (OFC)"]
["成分アレルゲン検査 (CRD)"]
["結果の評価・診断"]
["検査結果と臨床症状の照合"]
["アレルゲンの特定"]
["確定診断 (または可能性の指摘)"]
["治療・管理計画"]
["原因アレルゲンの除去・回避指導"]
["栄養指導"]
["薬物療法 (抗ヒスタミン薬, ステロイド等)"]
["緊急時対応 (エピペン®処方など)"]
["定期的なフォローアップ"]
この図が示すように、View39やMAST48mixは、アレルギーの原因を探る旅の始まりに位置づけられることが多いです。検査結果を踏まえ、医師が総合的に判断し、必要であればさらに詳細な検査や、具体的な治療・管理へと進んでいきます。
アレルギー検査キットと医療現場のイメージ
アレルギー検査は、医療機関での採血や、自宅で採血して郵送するタイプのキットなど、様々な形で行われています。以下は、アレルギー検査に関連するイメージです。
左と中央の画像は市販されている郵送型の検査キットの例です。これらは自宅で手軽に試せますが、結果の解釈やその後の対応については、やはり医師への相談が推奨されます。右の画像は、医師が患者の皮膚にアレルゲンエキスを少量滴下して反応を見る「皮膚プリックテスト」の様子を示しており、血液検査とは異なるアプローチのアレルギー検査です。
個人の体験談:アレルギー検査を受けてみて
アレルギー検査、特にView39のような多項目検査を実際に受けた人の体験談は、検査を検討している方にとって参考になるかもしれません。以下の動画では、View39検査を受けた方々の感想が語られています。
この動画では、実際にView39を受けた3名が、検査の動機や感想を共有しています。アレルギー検査がどのようなものか、結果がどのように受け止められるかなど、具体的なイメージを持つ一助となるでしょう。ただし、個人の体験は様々であり、医学的なアドバイスに代わるものではありません。
原因不明の食物アレルギー:どちらの検査を選ぶべきか?
最終的に、View39とMAST48mixのどちらが「適している」かは、個々の状況によります。
- 広範囲なスクリーニングを優先する場合: より多くの項目をカバーするMAST48mixが第一候補になるかもしれません。特に、木の実や特定の魚種など、MAST48mixに含まれる可能性のある項目に心当たりがある場合です。
- 利便性や初期スクリーニングを重視する場合: 少ない採血量で済み、結果が早く出やすいとされるView39が手軽な選択肢となることがあります。幅広いアレルゲンをまず大まかに調べたい場合に適しています。
最も重要なことは、自己判断せずに医師に相談することです。 医師は、あなたの症状、生活環境、食生活などを詳しく聞き取り、最も適切な検査を提案してくれます。また、検査結果が出た後も、その結果を正しく解釈し、今後の対策(さらなる検査、食事指導、治療など)を一緒に考えていく必要があります。
検査の限界と注意点
これらの検査は非常に有用ですが、限界もあります。
- 偽陽性・偽陰性: 検査で陽性でも症状が出ないこと(偽陽性)、陰性でも実際にはアレルギーがあること(偽陰性)がありえます。IgE抗体の存在が必ずしもアレルギー症状と直結するわけではありません。
- 診断の補助: これらの検査はあくまでスクリーニング(ふるい分け)であり、診断を確定するものではありません。確定診断には、症状の経過、他の検査結果(皮膚テストや食物経口負荷試験など)を総合的に評価する必要があります。
- 過剰な食事制限のリスク: 検査結果のみに基づいて、自己判断で多くの食品を除去することは、栄養不足や生活の質の低下につながる可能性があります。必ず医師の指導のもとで行いましょう。
よくある質問 (FAQ)
View39とMAST48mixの主な違いは何ですか?
主な違いは検査項目数です。MAST48mixは48項目、View39は39項目を調べます。MAST48mixはMAST36の項目に加えて、木の実ミックス、イネ科ミックスなどの「ミックス項目」を含むことで、より多くの種類のアレルゲンをカバーしています。どちらも食物と吸入系の両方を調べますが、カバーする具体的なアレルゲンの種類には若干の違いがあります。
これらの検査だけで食物アレルギーの診断は確定しますか?
いいえ、確定診断にはなりません。これらはアレルギーの原因物質を広範囲に調べるためのスクリーニング検査です。検査結果が陽性であっても、必ずしもそれが症状の原因とは限りません。診断は、医師が問診、症状の経過、他の検査結果(必要であれば皮膚テストや食物経口負荷試験など)を総合的に判断して行います。
自分でどちらの検査を受けるか選べますか?
通常、どの検査を行うかは医師が患者さんの症状や状況に応じて判断します。希望を伝えることはできますが、医学的な観点から最適な検査を選択することが重要ですので、まずは医師とよく相談してください。
View39とMAST48mix、どちらが「良い」検査ですか?
一概にどちらが優れているとは言えません。MAST48mixはより多くの項目を調べられますが、View39は少ない採血量で済むなどの利便性があります。どちらが適しているかは、検査の目的(広範囲なスクリーニングか、特定の疑いがあるか)、患者さんの状態、費用などを考慮して、医師が総合的に判断します。
検査結果が陽性だったらどうすればいいですか?
検査結果は必ず医師から説明を受けてください。陽性項目が実際の症状と関連があるか、どの程度注意が必要かなどを評価します。自己判断で食事制限などを始めるのではなく、医師の指示に従ってください。必要に応じて、より詳細な検査(特定の食品に対する個別検査や負荷試験など)が推奨されることもあります。
参考文献
推奨される検索