2025年に入り、1月から3月まで再開されていた政府による電気・ガス料金の負担軽減策(補助金)は、残念ながら3月使用分をもって終了となりました。この結果、多くの家庭や企業にとって、4月使用分(主に5月請求分)から光熱費の負担が増加しています。
大手電力会社10社すべてが、4月使用分の電気料金(規制料金)の値上げを発表しました。値上げ幅は契約プランや地域によって異なりますが、一般的な家庭(規制料金)で月額385円から465円程度の負担増が見込まれています。これは、補助金がなくなったことに加え、再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)の単価が引き上げられたことも影響しています。
毎月の電気料金明細で補助額を確認できます(画像は過去のイメージ)
補助金の終了だけでなく、2025年度の再エネ賦課金単価が前年度から引き上げられたことも、電気料金上昇の一因です。これにより、電気の使用量に応じて加算される金額が増えています。
2025年1月から3月にかけて実施された補助金は、「電気・ガス価格激変緩和対策事業」として、依然として続く物価高やエネルギー価格の上昇から国民生活を守る目的で再開されました。この期間、多くの家庭や企業の光熱費負担が一時的に軽減されました。
この期間の補助内容は以下の通りでした。特に家庭や小規模事業者が多く契約する「低圧契約」では、使用量1kWhあたりに対して補助が適用されました。都市ガスについても同様に補助が行われました。
対象期間(使用分) | 電気代値引き(低圧契約) | 電気代値引き(高圧契約) | 都市ガス代の値引き |
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2025年1月・2月 | 2.5円 / kWh | 1.3円 / kWh | 10.0円 / m³ |
2025年3月 | 1.3円 / kWh | 0.7円 / kWh | 5.0円 / m³ |
出典: 経済産業省 資源エネルギー庁の情報を基に作成
例えば、標準的な家庭(月間260kWh使用)の場合、1月と2月には月額約650円、3月には約338円の電気代負担軽減効果があったと試算されています。この補助は、電力会社・ガス会社が料金を請求する際に自動的に値引きする形で行われたため、利用者が個別に申請する必要はありませんでした。
補助金が終了した一方で、政府・与党内では、特に電力需要がピークを迎える夏場に向けた新たな負担軽減策の検討が進められています。最新の情報(2025年4月24日時点)によると、2025年7月から9月までの3ヶ月間、電気・ガス料金に対する補助金を再開する方向で調整が進められています。
これは、夏の冷房使用による電気代増加を見据えた措置であり、物価高対策の一環として位置づけられています。石破首相もこの方針を表明しており、自民・公明両党も実現を目指す方針を確認しています。財源としては、今年度の予備費や既存の基金の活用が検討されています。ただし、これはまだ正式決定ではなく、今後の動向が注目されます。
電力供給を支える送電網。エネルギー価格の動向が料金に影響します。
日本の電気料金は、政府の補助金政策だけでなく、様々な要因によって変動します。以下の図は、電気料金に影響を与える主な要因とその相対的な影響度合い(イメージ)を示したものです。
例えば、「2025年冬 (補助あり)」の期間は政府補助金の影響が大きく、燃料価格や季節的な需要も高い状態でした。「2025年春 (補助なし)」では補助金がなくなり、再エネ賦課金の影響が相対的に増しています。「2025年夏 (補助検討中)」では、補助金が再開されればその影響が再び大きくなりますが、季節需要もピークに達します。為替レート(円安)も輸入燃料価格を通じて影響を与えます。
政府による電気・ガス料金補助金は、単独の政策ではなく、広範な物価高騰対策の一部として実施されています。以下の図は、この補助金制度が、他の経済政策や社会情勢とどのように関連しているかを示しています。
中心となる「日本の電気料金補助」は、世界的な「エネルギー価格高騰」や「円安」を背景とした「物価高対策」の一環です。これには「過去の実施(2023年開始、2025年1-3月再開)」があり、「現状」としては「2025年3月で終了」し、「4月からの料金値上げ」が発生しました。「今後の見通し」として「2025年夏の再開検討」が行われており、「財源」の確保が課題です。この政策は、「家計負担の軽減」や「企業活動の支援」といった「影響」をもたらすことを目的としています。
以下の動画は、2025年4月からの電気・ガス料金値上げについて報じたニュースです。政府の補助金が3月で終了したことを受け、大手電力会社10社全てで料金が値上がりした状況を解説しています。値上げ幅(385円~465円)についても触れられており、補助金終了が家計に与える直接的な影響を理解する上で参考になります。
政府は、この補助金を物価高騰に対する「激変緩和措置」として位置づけていました。2025年1月から3月までの再開は、特に燃料需要が高まる冬季の負担を軽減する目的でした。当初から期間限定の措置として計画されており、3月使用分での終了が予定されていました。国際的なエネルギー価格の動向なども考慮された結果、一旦終了となりました。
2025年4月24日現在、夏の補助金再開はまだ「計画・検討段階」であり、正式に決定されたものではありません。政府・与党内で7月~9月の実施を軸に調整が進められていますが、具体的な開始時期や補助額、実施期間については、今後の正式発表を待つ必要があります。一部報道では前倒しの可能性も示唆されていますが、確定情報ではありません。
大手電力10社の4月使用分(5月請求分)の規制料金では、一般的な家庭で月額385円~465円程度の値上がりとなっています。これは、3月まで適用されていた1kWhあたり1.3円の補助がなくなった影響が大きいです。ただし、実際の値上がり額は、契約している電力会社、プラン、電気使用量によって異なります。
これまでの補助金制度では、利用者が特別な申請手続きをする必要はありませんでした。契約している電力会社やガス会社が、国からの補助金を元に、毎月の請求額から自動的に補助額を値引きする形で適用していました。もし夏に補助金が再開される場合も、同様の仕組みになる可能性が高いと考えられます。